市民防災を問い直す

いま、何が必要か

松井 一洋 著
四六判/ 定価1,500円(1,364円+税)送料209円









本書は、わが国と国民が、これまで取り組んできた防災活動を振り返り、数年後にも切迫していると警告されている南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大災害から、ともに生きぬく道筋を見定めたいと思い執筆した1冊。



目次
はじめに

本書で提示する主な防災体制の強化(総括)

第一章 わが国の防災のゆくたて
1.防災の主流化(Mainstreaming Disaster Risk Reduction)
⑴世界の防災の主流化の潮流
⑵わが国の取り組み~防災基本法(仮称)の制定へ
2.防災の三つの座標軸
⑴三つの座標軸
⑵災害のタイムラインごとの主要な課題
3.現代の防災が直面している課題 
⑴「自分ごと(自己責任)」防災
⑵防災は、人間学
⑶自助・共助・公助
★コラム 国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)の津波ブイと観測網 1
★コラム 補完性の原理(principle of subsidiarity) 
4.次の『国難(national crisis)』に備えるために
⑴災害対策基本法による災害緊急事態の布告
⑵緊急事態対処法(仮称)の制定について
⑶救助・捜索・救援体制の整備
⑷現在のわが国の防災組織
⑸災害法制
⑹国と地方公共団体、地方公共団体相互、地方公共団体と企業の応援協定
5.防災の標準化
⑴防災のイメージと認識
⑵地域防災計画と地区防災計画
⑶防災と減災

第二章 災害情報論概説
1.災害情報の原則
⑴災害情報と合理的人間観
⑵情報のグレシャムの法則
⑶災害情報の「ドーナツ化」と情報がないと言う「情報」
2.災害情報の伝達
⑴市町村長が発令する避難情報
⑵レベル4避難指示を「避難命令」へ
⑶災害情報を伝達するメディア
3.災害報道の新しい視点
⑴災害のタイムラインと災害報道
⑵災害報道のあり方と受けとめ方
⑶災害情報の広報体制
★コラム 南海トラフ地震が切迫した場合の政府の発表(内閣府) 

第三章 日常の防災活動の課題
1.災害リテラシー
⑴なぜ、防災が強く求められるのでしょうか?
⑵なぜ、多くの人々は防災に無関心なのでしょうか?
⑶災害の伝承と「災害の教訓」の伝承
⑷サイバーセキュリティ
2.日常生活における防災
⑴ベビーカーとキャリーバッグ
⑵長周期地震動(LPGM: long-period ground motion)
⑶建造物の危険度判定
⑷家具等の固定
⑸水・食料備蓄
⑹非常持ち出しバッグ(袋)の用意と持ち出し
⑺ブロック塀対策
⑻電気主幹ブレーカーとガスマイコンメーター
★コラム 住宅の耐震補強
★コラム「令和6年能登半島地震における瓦の脱落についての調査報告」(国土交通省)
3.災害危険地域からの住居移転の促進
⑴防災集団移転
⑵土地への愛着について
⑶主な防災移転支援事業(公共事業)
⑷空き家、空き地の対策
4.被災後の重要課題
⑴倒壊建造物の公費解体・撤去
⑵瓦礫・災害ごみの処分
5.企業・組織と防災
⑴BCP(事業継続計画)の基本発想
⑵企業の社会的役割の再確認
⑶企業・組織や学校等における防災
⑷特別な施設等の防災
6.自主防災組織と消防団
⑴自主防災組織の位置づけ
⑵自主防災組織の基本活動
⑶自主防災組織と消防団の協働
7.避難行動論
⑴避難リテラシー
⑵避難の多様性
⑶避難の課題
⑷避難場所の環境整備
⑸避難所の国際標準化
★コラム TKB48

第四章 防災支援者
1.被災者支援の論理
⑴被災者支援は「施し」ではない
⑵「救援文化」を問う
★コラム 東日本大震災後の言葉から― 
2.災害ボランティア
⑴ボランティア元年(1995)
⑵NPOと災害ボランティア
⑶災害ボランティアは新しい局面に
⑷「助けてもらう人」と「助ける人」
★コラム 特定非営利活動促進法第2条 別表で定められた20の活動

第五章 防災における人間関係
1.顔が見える関係
⑴顔が見える関係の功罪
⑵防災における人間関係
2.防災リーダーシップ概論
⑴リーダーの三つのタイプ
⑵リーダーの心得
⑶リーダーとしての基本精神
3.防災リーダーのこれから
4.防災リーダーや災害支援者への伝言
⑴善きサマリア人(びと)の法(good Samaritan laws) 
⑵惨事ストレス(救援者ストレス)への注意
⑶被災の脆弱性と階層性
⑷多様性社会への理解
★コラム 危機に備える三つのスピリット
★コラム アファーマティヴ・アクション(積極的格差是正措置:Affirmative Action)

第六章 これからの市民防災
1.新しい地域防災の考え方
⑴危険社会論
⑵コミュニティ再生について
⑶事前復興
⑷フェーズフリーの考え方
2.防災教育について
3.世代間倫理

おわりに
索 引(巻末からご覧ください。)