伝えていきたい日本の伝統文化 
 四季の年中行事と習わし
 美しい自然や四季に恵まれた日本には
 昔から多くの年中行事、儀礼や習わしがある。自然風土、四季の特長を生かして何百年にもわたって蓄積伝承された「日本の暮らしの文化」、その中に込められた先人の思いや知恵、本来の意味を踏まえつつ日本の良き文化を次の世代に伝える。 ●竹中 敬明 著
  A5判/215頁
   定価(本体2,476円+税)送料209円

まえがきより 抜粋
 美しい自然や四季に恵まれた日本には、昔からお正月、節分、雛祭り、端午の節供、お彼岸、七夕、お盆、お月見など多くの年中行事があります。また、七五三、成人の儀式、還暦など年齢や人生の節目を大切にした儀礼、習わしなどがあります。
 年中行事や習わしは、私たちの先祖が日常生活の営みにおいて、神や仏、自然に対する畏れや祈り、感謝、また、先祖を敬い、亡き人を偲ぶ気持ち、或いは親として子供の幸せを琴つ気持ちなどから生まれました。
 これらのことは、日本の自然風土、四季の特色を生かした暮らし方、生活の知恵、生活習慣など様々なものが長い年月にわたって蓄積されてできた
「日本の暮らしの文化」でもあります。また、私たちの先祖は、一年の暮らしの中に年中行事や習わしという「特別な日」を設けることによって、単調になりがちな生活に変化をつけ、生活に楽しみや安らぎを得ることを考えました。
 言わば日本の年中行事や習わしは、暮らしの中から生まれた生活文化であり、何百年にわたって伝承されてきた伝統文化であり、日本の伝統文化の基調をなすものともいえます。
 しかしながら、近代における急激な社会変化や人びとの意識の変化は、この日本の伝統文化に大きな彩管を及ぼし、日本の良き文化が次々と忘れ去られようとしています。
 なかでも、年中行事や習わしといったものは、経済性、合理性を追求する生活スタイルや核家族化、地域におけるつながりの希薄化などから、現在では消滅したり、衰退したり、また、行事本来の意味を失わせてしまったりと、大きな変化をみせています。
 近年、
「日本の伝統文化の尊重」ということが唱えられるようになり、各分野で古くから伝わる日本の伝統文化の良さが再認識され、伝承への取り組みが行われるようになりました。先人が長い歴史をかけて培ってきた伝統文化、日本の良き文化を次の世代に伝えていくことは、現代に生きる私たちの役割でもあると考えます。
 ただ、伝統文化といえども時代とともに変化していくものであり、年中行事や習わしについても、昔の故実や形態を寸分違わず守っていくということでもありません。また、形だけを伝えればよいとするものでもありません。
 やはり、
「何故、生活の中にこういう年中行事や習わしがあるのか」という本来の意味、それらの中に込められた先人の思いや知恵というものを知ることが大切かと思います。現代においても伝統の形で実施できるものは実施し、なじまないものは現代の生活に合った形で取り入れていく、そういう柔軟な方法で伝統文化を守り、伝えていくことではなかろうかと考えます。
 皆さまが日本の年中行事や習わしについて考えられるときに、或いは家庭における実用の際に、本書が何らかのお役に立つことができれば幸いです。
     主 要 目 次 
 第一章  年中行事、習わしの概要
   1  年中行事、習わしと意味
   2  年中行事、習わしと「暦」
   3  年中行事、習わしと「四季」
   4  年中行事、習わしと「休日」
   5  年中行事、習わしと「食」
   6  年中行事、習わしと「通過儀礼」
 第二章  四季の年中行事と習わし
 第1  正月の年中行事、習わし
     ・正月/元日・元旦/初日の出/若水迎え/初詣/正月飾り/門松/鏡餅/松竹梅の祝い花/屠蘇/雑煮/お節料理お年玉//松の内/七日正月/七草粥/小正月/二十日正月  ほか
   第2  春の年中行事、習わし
     ・雛祭り/春の彼岸/花見/端午の節句
   第3 夏の年中行事の習わしと 
     ・衣替え/七夕/土用/お中元/暑中見舞/お盆
   第4 秋の年中行事、習わし 
     ・お月見/重陽の節供/秋の彼岸/紅葉狩り/七五三
   第5  冬の年中行事、習わし
     ・冬至/お歳暮/正月事始め/煤払い/餅つき/正月飾りの準備/大晦日/年越し/年越しそば/除夜の鐘/節分/針供養
 第三章  年中行事、習わしの変化と伝承
   1  現代における年中行事、習わしの実施状況・傾向
   2  年中行事、習わしが消滅、衰退に至った経緯
 3  年中行事、習わしについての意識の変化
   4  年中行事、習わしの伝承