病院前救護学 その理論と実践

窪田 和弘 著  A4判/386頁
定価(本体4,000円+税)送料370円





救急業務が法制化されて50年余り、また救急救命士制度が創設されて30年が経過し、救急という職業が社会的に認識・賞賛されるまでに発展してきた。
しかし、これまでの見て覚える“技能”から、伝える“技術”への転化を図り、医療との共通領域を有するが、救急の特殊性・独自性を主張し、固有の学問を作り上げアイデンティティを確立する。本書が、今後、「病院前救護学」という学問として発展していく方向付けになればと願い出版した。












も く じ

初めに

Ⅰ編 序 論

第1章 病院前救護学構築への道

第1 病院前救護学とは
1 定義付け
2 病院前救護の理論
第2 病院前救護学の成立
1 病院前救護学を構成する関連科目
2 教育体制
第3 病院前救護学の発展に向けて
1 自らの、自らによる、自らのための学問
2 理論に基づいた病院前救護
3 病院前救護の研究

第2章 病院前救護概説

第1 救急業務
1 救急業務の対象者要件
2 緊急性の捉え方
3 救急業務の法的運用
第2 応急処置
1 応急処置を行う法的根拠
2 応急処置の法的な位置付け
3 応急処置の基準化
第3 病院前救護の技術
1 技術の概念
2 人に適用する技術
3 病院前救護における技術の適用
4 技術の向上について
第4 救急活動
1 救急活動の流れ
2 救急隊機能の独自性
3 病院前救護体制の位置付け
4 病院前救護体制における救急隊の役割
第5 指令室員の役割
1 情報収集
2 要請者へのアドバイス(口頭指導)
3 現場支援
4 医師への情報伝達
5 エキスパートとしての教育内容
第6 救急救命士制度
1 救急救命士法制定の背景
2 救急救命士制度の概要
3 業務内容
4 医師の指示形態
第7 傷病者情報の取り扱い・管理
1 活動記録
2 記録の使用目的
3 記録の作成
4 記載要領
5 傷病者情報の取り扱い
第8 救急活動と医療事故
1 医療事故
2 救急活動に伴う医療事故
3 注意義務の意義
4 過失に対する考え方
5 事故発生時の対応

第3章 病院前救護過程

第1 概要
1 定義・目的
2 現場判断
3 病院前救護過程の実際
第2 クリティカルシンキング
1 クリティカルシンキングの概念
2 クリティカルシンキングスキル
3 問題解決とクリティカルシンキング
4 クリティカルシンキング過程
5 傷病者管理の実際

Ⅱ編 地域社会と病院前救護

第4章 地域社会と病院前救護

第1 病院前救護を支える関連法規
1 はじめに
2 憲法理念と救急業務
3 地方自治法と救急業務
4 福祉の概念と救急業務
5 公衆衛生の概念と救急業務
6 医療法(医療計画)にみる病院前救護従事者(住民、救急救命士)の役割
第2 地域住民と救急業務
1 救急車利用
2 地域包括ケアシステムにおける病院前救護
3 高齢者福祉施設との連携
第3 病院前救護における地域住民の役割
1 住民指導
2 応急手当の実際
3 予防救急
4 救急車の適正利用
5 病院前救護の課題

第5章 救急医療体制

第1 救急医療体制の変遷
1 救急業務の始まり
2 救急医療体制の社会的問題
3 救急医療体制の整備
第2 重度傷病者の受け入れに向けた体制作り
1 背景
2 傷病者の搬送及び受け入れの実施基準
3 救急医療体制の課題

Ⅲ編 救急隊(救急救命士)の責務

第6章 救急隊(救急救命士)の役割と責任

第1 基本的事項
1 役割と責任
2 活動時の役割
3 救急隊の要件
第2 プロフェッショナルとしての救急隊
1 プロフェッショナルの定義付け
2 プロフェッショナルの成立要件
3 プロフェッショナルの態度
4 プロフェッショナルの特性
5 現場統括者の責務
6 継続教育とプロフェッショナルの発展
7 その他の役割と責任
第3 健康管理
1 目的
2 栄養
3 身体的な健康
4 睡眠の重要性
5 腰痛の予防 205 6 コミュニケーションとチームワーク
第4 病院前救護におけるストレス
1 ストレスの発生からみた現場の特性
2 ストレスの症状
3 ストレス管理
4 ストレス発生時の対応
第5 病院前救護倫理
第1部 基礎編
1 倫理と道徳と法
2 法的義務と倫理
3 倫理を学ぶ意義
4 倫理綱領(規程)
5 プロフェッショナルとしての法的責任
6 倫理的問題(ジレンマ)への基本的な対処
7 倫理の4原則
第2部 実践編
1 病院前救護の現場で直面する倫理的問題(ジレンマ)
2 倫理的問題(ジレンマ)の発生
3 倫理的問題(ジレンマ)への迅速な対応
4 倫理的問題(ジレンマ)の事例検討法
5 アドバンスディレクティブ(事前指示)について
6 守秘性
7 同意
8 限られた医療資源の適正配分
9 傷病者に関するその他の倫理的な原則
10 調査・研究
11 組織としての倫理的問題(ジレンマ)への取り組み

Ⅳ編 病院前救護の実際

第7章 傷病者管理

第1 傷病者管理の基本
1 傷病者の一般的反応
2 家族の反応
3 傷病者への対応
第2 傷病者への適切な説明
1 同意
2 適正な判断能力のない場合の同意
3 処置の拒否
第3 治療的コミュニケーション
1 コミュニケーションの基本
2 治療的コミュニケーションの実際
3 コミュニケーション技法
4 効果的な聴取とフィードバック
5 傷病者への説明要領
6 具体的なコミュニケーション法
7 コミュニケーションに関する特別な問題
第4 危機的状況にある傷病者反応と対応
1 導入
2 救急場面での危機
3 突然死への危機介入
4 終末期の状態にある傷病者への危機介入
5 自殺企図への危機介入
第5 社会死状態への対応
1 基本原則
2 傷病者対応
3 家族対応

第8章 現場行動

第1 基本的な行動要領
1 傷病者の移動
2 救出・救助現場における救急隊の活動要領
3 搬送用資器材への移動、パッケージング
4 現場から医療機関への搬送
5 救急車内の環境
6 医療機関への到着
7 医療機関引き上げ
8 活動の終了
第2 状況評価
1 出動から傷病者に至るまでの行動要領
2 傷病者に接してからの行動要領
3 傷病者情報
第3 病院前救護における観察
1 観察とは
2 観察の基本
3 評価に基づく傷病者管理
4 外見等の観察
5 一次評価
6 二次評価
7 継続評価

索 引