進化し続ける次世代の消防・防災戦略

―いつの時代も「さすが消防」といわれるために―

小野　和夫 著　　　A5判／192頁
定価2,200円（本体2,000円＋税）送料209円

同じ災害は二つとないと言われますが、分析をする中では共通する基本的事項は多いです。
本書では、これまでの30年から50年に及ぶ様々な消防活動のデータをビジュアル化しそのトレンドを捉えながら、昨今の災害や消防を取り巻く社会環境の変化の中で、消防がこれから取り組むべきいくつかの課題について、現場の視点から模索しました。

まえがき
目次

第 1 増加する住宅火災被害への新たな戦略
1 火災１件あたりの焼損状況と死者数
2 消防の基本的技術習得への影響
3 火災の状況を踏まえた対策
まとめ

第 2 救助事象の変貌と救助活動への新たな変革
1 救助隊の発足と発展
2 現在の救助活動
3 これからの消防救助
4 建物等による事故の対応
まとめ

第 3 軽症者からの救急要請の減少に向けた消防の権限
1 救急出場の現況
2 救急需要の増大に対する取り組み
3 救急業務とその判断の難しさ
4 救急業務に関する一つの考察
まとめ
第 4 安全管理は基本的行動の徹底とチームワーク
1 公務災害の発生状況
2 火災活動の殉職事案と安全管理
3 公務中の負傷事案
4 重大事故に至る火災現象等の教育と緊急脱出要件の徹底
まとめ

第5 地域防災力向上のために求められる消防署の役割
1 地域の自主防災組織の活動と防災意識
2 消防署と自主防災組織の関わり
3 大規模災害に対して消防署が進める防災指導と防災教育
まとめ

第6 大規模地震等の対策を支える消防計画の重要性
1 大規模地震の被害想定の対応
2 毒性物質等の発散による特殊な災害の消防計画
まとめ

第7 電気に関係した火災の増加と電気技術の習得
1 減少傾向にある火災原因
2 増加傾向にある火災原因
3 製品火災の傾向
4 改めて考える火災原因調査の意義
5 これからの火災原因調査と電気技術の習得
まとめ

第8 熱中症と予防救急の可能性
1 熱中症の救急搬送状況
2 熱中症の各界の動き
3 熱中症の動きと消防の対応
4 高齢者の熱中症対策
まとめ

第9 特別警戒にもデータの蓄積による理論構築の試み
1 救急搬送の発生状況
2 スポーツにおける負傷等の発生状況
3 効果的な救急対応の検討
まとめ

第10 消防活動の変貌と特殊公務災害の意義
1 公務災害の発生状況
2 特殊公務災害の認定状況
3 特殊公務災害に係る審議経過
4 消防活動の変貌と特殊公務災害
まとめ

第11 消火器による初期消火が減少
1 火災と初期消火の状況
2 大規模震災時等における初期消火の状況
3 大規模地震等と風
4 消火器具の設置率向上と初期消火の実施率の向上をめざして
まとめ

第12 社会環境等の変化による共助への支援の強化
1 昨今の自然災害等
2 地域を取り巻く社会環境の変化
3 小さな災害の兆候の経験
4 より充実した共助に向けて
まとめ

第13 人口減少、少子・高齢化が消防にもたらすもの
1 高齢化の進展と火災による死者
2 地方都市における焼損面積の増加
3 火災等における現着時間の拡大と消防の広域化
4 高齢者を火災から守るための新たな予防戦略の構築
5 人口の減少等に伴う水道事業と消防活動への影響
6 災害経験の減少に対する戦略的な人材育成
まとめ

第14 20年後、30年後の消防はどうなっている？［そのⅠ］
1 住宅火災にはAIが活躍
2 火災原因の特定が一層困難に
3 消防機関への依存度が高まる

第15 20年後、30年後の消防はどうなっている？［そのⅡ］
1 情報収集等にドローンや空飛ぶ車が活用される
2 避難指示の判断と範囲などの確実性が増す
3 増加する豪雨災害等に対応する消防団等との連携を強化
4 情報化の進展により消防本部の災害活動能力が向上

あとがき
索引